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【2】時計の動く仕組み

時計の分解清掃を行うにあたって最低限知っておかなければならないのが、

その仕組みと各部品の名称です。

機械式時計の中身は、いったいどうなっているのでしょうか?

イメージでは、歯車が所狭しと詰まっていて・・・なんて感じでしょうか。

また、それら歯車たちは、どうやって動いているのでしょうか?

簡単に言ってしまうとゼンマイが動力源で歯車を動かしその歯車の先に針がついているのです。

昔遊んだゼンマイの車やロボットのおもちゃと基本は同じです。

因みに大きさが同じなら自動車のエンジンの方が、よっぽど精密です。なので気負わずにこの

世界へ足を踏み入れましょう。きっと好きになります。(多分)

さて、早速、本題に入りましょう。

図1 輪列
輪列png

上の図1をご覧ください。(実際には、横一列に並んでいません。)腕時計のコアな部分は、この図の数個の歯車だけです。あとは、ゼンマイを巻く為の歯車や仕組み、針を合わせる為の歯車や仕組みが加わります。用語の解説ですが、香箱車(こうばこくるま)と書かれた大きめな歯車ですが、この中にゼンマイが入っています。動力源になります。(図2 香箱車の中のゼンマイ)つまり1番車(あまり1番車とは呼びません。多くは香箱と呼ばれます。)この香箱車のゼンマイを巻いてそのほどける力で2番、3番、4番、ガンギ車とを回します。これを輪列(りんれつ)といいます。
・香箱車(1番車)は、ゼンマイが入っている動力源。
・2番車は、分針が取り付けられ60分で1周するように調整されています。
・3番車は、2番と3番をつなげる回転数調整の歯車。
・4番車は、秒針が取り付けられ60秒で1周するように調整されています。
・筒車は、2番車と(日の裏車※)を連動させ時針が取り付けられ24時間で
 2周するように調整されています。
※日の裏車とは、2番車回転力を減速して筒車に伝える歯車。
さて、ここで疑問に思うことがあります。それは、自分の持っている腕時計は、文字盤の中心から3本の針が、出ているのに上の図では、時分の針は、一緒でも秒針が別になっている?という事です。一緒じゃないのは何故?と。答えは、上の図は、スモールセコンド(サブセコンド)型といって古典的な型なのです。懐中時計の時代からの伝統的配置です。皆さんの知っている普通の文字盤の中心から3本の針が、出ているのは、これの改良型でセンターセコンド(中3針ナカサンシン)型といわれるもので主に1950年年代中頃から一般的になってきたものなのです。(図3参照)2番車の軸を中空にしてそこに4番車の軸を通して2階建てにして3本の針を同じ中心にもってきた配置です。

図2 香箱車の中のゼンマイ
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図3 左がスモールセコンド 右がセンターセコンド  
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図4は、スモールセコンド型の写真です。図5は、センターセコンド型の写真です。このように重なっています。図4と図5で秒針の付く4番車の位置が違うのがわかります。図6は、香箱車と4番車を外した状態です。2番車とガンギ車が見えます。2番車の中心に穴(筒状)が開いてます。ここに2番車の軸が通ります。

図4 輪列実写(スモールセコンド型)
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図5 輪列実写(センターセコンド型)
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図6 輪列実写(センターセコンド型)
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図7 4番車が2番車の真(筒状)を通っています。
4番2番
図8は、上のセンターセコンド型を裏返した写真です。わかりやすい様に文字盤は外してあります。2番車の中心の穴(筒状)を通った4番車の先に秒針が付いています。

図8 時分秒針と筒車
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さて、巻かれたゼンマイの力は、それぞれの歯車を回しますが、このままでは、一気にゼンマイはほどけて勢いよく各歯車が回ってお終いです。ゼンマイのおもちゃの車と同じです。そこでガンギ車、アンクル、テンプという部品でほどける力を制御します。一定方向にしか回らないよう変わった形をした歯がついたガンギ車と爪(図9・10・11参照)のついたアンクルという部品でブレーキをかけたり開放したりしつつ回転運動を左右の往復運動に変換して伝えます。これを脱進機構と言います。時計のカチカチ音は、ここで発生します。爪は、人口ルビーで出来ているものが殆どです。ここで説明した脱真機構は、クラブツース脱進機と呼ばれる最も一般的な機構になります。

図9 脱進、調速機構
クラブツース02
図10 脱進、調速機構実写
脱進調進
図11 位置関係と動き
ガンギとアンクル動き
図12 アンクル
アンクル
図13 調速アップ
振り石
次にテンプですが、テンワとヒゲゼンマイからなっています。(図12 調速アップ)テンワの中心に近い部分(偏心)に振り石と呼ばれる石が取り付けられておりその石に往復運動に変わったアンクルの端(爪の反対側クワガタ)が往復びんたの様にその石の左側、右側を叩きテンワを左右に動かします。
左右に動かされたテンワには、ヒゲゼンマイが取り付けられておりヒゲゼンマイは、その一方を中心にもう一方を外(テンプ受け側)に固定されテンワが右へ振れたら左に戻し左に振れたら右に戻すという役割をします。この左右の動きは、ヒゲゼンマイの長さで調整でき香箱からの動力の進み遅れを制御しますので調速機構といいます。そしてこの一定の左右の動きは、アンクルを通してガンギ車へ伝わります。因みにテンプの左右の動きを振動といいます。この振動は、よく振動数18000だとか36000だとかって表現されますが、これは、1時間あたりテンワが何往復するかということで例えば、18000は、5振動(2.5往復)/秒=18000/時となります。一般的に8振動(4往復)/秒=28800/時以上がハイビートと呼ばれそれ以下がロービートとなります。ハイビートな程、時間精度は上がりますが、各パーツの消耗も激しくなります。このように機械式腕時計は、ゼンマイのほどける力を動力源とし4つの歯車でなる輪列に伝わりガンギ車、アンクル、テンプ、ヒゲゼンマイからなる脱進、調速機構で一定のリズムへと変換され各歯車に取り付けられた時、分、秒針を動かし時を刻むのです。これが、基本の機構です。いわゆる3針と呼ばれる腕時計です。これに様々な機能を付加(自動巻き、カレンダー、ストップウォッチ等)されていきます。

図14 機械式腕時計3針のパーツ
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