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【3】リューズでゼンマイを巻いたり時刻合わせしたりする仕組み

 前回は時計の動く仕組みの基本につてみてきました。

次は、その他の仕組み、どうやってゼンマイを巻くのか?時刻合わせは?

その辺りの仕組みをみてみましょう。

まず、ゼンマイを巻くのも時刻を合わせるのもどちらもリューズ操作で行います。

リューズをそのまま回せばゼンマイを巻き、リューズを引き出して回せば

時刻合わせが出来ます。

リューズの先には、巻き真と呼ばれる心棒とそれにキチ車、ツヅミ車という歯車が

取り付けられています。キチ車は、ゼンマイをツヅミ車は、時刻合わせを担当します。

巻き芯は、円柱と角柱の部分があり円柱にキチ車がはまりキチ車の穴のサイズは、

巻き真の直径よりやや大きく回転する(緩め)状態です。また、角柱には、四角い穴の

ツヅミ車がはまって動きます。こちらはサイズが丁度で一緒に回る様になっています。

また、キチ車とツヅミ車は、階段状の歯車で噛合いますが、右回しの時にかみ合い

左回しの場合は滑ってかみ合わない様な形状をしています。

図1をご覧ください。矢印の方向から見るとそれぞれこの様な形になっています。

図1 
リューズツヅミ車

そしてゼンマイを巻く、時刻を合わせるの2つの役割は、リューズそのまま回す、引き出して

回すというそれぞれの動作でツヅミ車が巻き真のどの位置にあるかで決まります。

図2をご覧ください。左がゼンマイを巻くときのキチ車とツヅミ車の位置関係です。

両方の歯車が噛み合っています。キチ車の穴は、巻き真の直径よりやや大きい為そのままでは

リューズを回しても巻き真が回るだけでキチ車は、動きません。ですが、四角穴のツヅミ車は

四角柱の巻き真とガッチリ噛み合っていますのでリューズ(巻き真)を右に回すと同じ方向へ

回ります。その歯がキチ車の歯と噛合っていますのでキチ車も一緒に右に回ります。

また、左回しでは、歯の形状により滑って空回りします。

その外周部分の歯車が、丸穴車に伝わり丸穴車は、噛合う角穴車を回します。

角穴車は、香箱車真と四角い穴で噛合っていますのでゼンマイを巻き上げるのです。

図3をご覧ください。因みに巻き上げ時に戻らない様にコハゼというクサビの様な

役割をする部品が角穴車を制御します。

では、図2の右写真の状態(時刻合わせ)では、どうでしょうか。

ツヅミ車は、キチ車と離れ巻き真の先の方へ寄っています。この状態では、キチ車は

当然回りません。そしてツヅミ車は、四角穴と四角柱の関係はここでも続いていますので

リューズを回すと一緒に回ります。今度は、左右どちらのも回ります。そしてこのツヅミ車と

噛合うのが、コテツ車です。コテツ車は、日の裏車を回しその先の筒カナ及び筒車を回します。

筒カナには、分針が、筒車には、時針ついており時刻合わせが出来るのです。

ここでおやっと思ったことと思いますが、分針は、確か2番車の先では?と

正確には2番車の先には、筒カナという筒状の歯車がかぶさっており2番車の回転と一緒に

摩擦で回っています。摩擦と聞くと??と思いますが、ユルユルでは一緒に回らないけど

少しキツキツなら回るといった感じでとらえてください。時刻合わせの為、分針を回すのに

4番車に連なる輪列全部をリューズで回すことはできません。そこで考え出された仕組みです。

(正確には、2番車と筒カナには、くびれがあってその部分で半固定される。)

図2 左がゼンマイを巻くとき 右が時刻合わせのときの状態
巻き真ツヅミキチ


図3 ゼンマイを巻くときの輪列
リューズからゼンマイまで

ゼンマイを巻く時と時刻合わせの時には、ツヅミ車の位置が関係することは判りました。

では、そのツヅミ車は、どうやって位置を決めるのでしょう。

図4をご覧ください。ツヅミ車は、その中央部に溝があります。

この溝に棒が入ってキチ車と離したり付けたりします。その棒をカンヌキといいます。

カンヌキは、カンヌキバネによって常にツヅミ車をキチ車にくっつく様にテンションが

かかっています。この状態では、先に述べたとおりキチ車が有効になりゼンマイを巻き上げ

ます。次に図5ですが、リューズを引っ張るとオシドリという部品がリューズと連動して

カンヌキをコテツ車の方へと押しやります。カンヌキは、ツヅミ車の溝にはまっていますので

ツヅミ車は、カンヌキと一緒にコテツ車の方へいき噛合います。そしてリューズを回すと

コテツ車が回り日の裏車、筒カナを回し時刻合わせが行われます。


図4
カンヌキ01


図5
カンヌキ02JPG


いかがでしたでしょうか? 再度確認です。

ゼンマイを巻くには、

リューズ 
 ↓
巻き芯
 ↓
キチ車
 ↓
丸穴車
 ↓
角穴車
 ↓
香箱真
 ↓
ゼンマイ となります。

図6から図9までをご覧ください。

図6 リューズからゼンマイまでの部品
リューズからゼンマイ02


図7 丸、角穴車のネジを外した状態
切り替え機構02

図8 丸、角穴車を外した状態
切り替え機構03


図9 受けをはずしてみました。 丸、角穴車、キチ車の関係
切り替え機構04


時刻を合わせるには、

リューズを引く
 ↓
巻き芯
 ↓
ツヅミ車
 ↓
コテツ車
 ↓
日の裏車
 ↓
筒カナ・筒車 となります。

図10から図13をご覧ください。



図10 リューズから筒カナまでの部品
切り替え機構11

図11 筒カナは、2番車にかぶさる様に取り付きます。
切り替え機構07

IMG_3284

図12 筒カナと筒車は、この様になります。日の裏車は、筒カナ、筒車を回します。
切り替え機構05

図13 筒車に時針、筒カナに分針、2番を突き抜けた4番の先に秒針が付きます。
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